周辺に田んぼが広がるのどかな場所に、ノンちゃんの両親の住まいがある。その隣にノンちゃんとその家族の住まいを増築することになった。「子供たちの姿がどこにいても感じられる家にしてほしい」という要望に加えて、家のどこからでも景色の広がりを感じられる家にしたいと考えた。
そこで、自分の居場所を感じながらも、同時に、隣り合う部屋や周囲の景色に囲まれているような状態を創るために、木立を帯で囲い取ったような構成の家とした。
木立である120角の杉柱は、すっくと立つ自然の木をイメージして素地のままの真壁納まりとし、それらを囲う帯壁は、室内と屋外が交じり合う印象が得られるよう、内外とも同色の左官仕上げとした。また、スキップフロアとすることで、この帯壁は様々な高さに展開し、ある場所ではカウンターや吊戸棚となり、別の場所では、地窓やハイサイドを帯壁の上下に生み出している。
構造計画としては、通常の木造在来工法に比べて多くの柱を林立させ、全ての帯壁に地震力を負担させることで、視線を遮る耐力壁を極力減らすよう配慮した。さらに、このような柱・梁のシンプルな構成を活かすため、耐力壁の不足分はFRPグレーチング(ひかりかべ)で補い、光と風が染み渡る住宅を実現している。
この家において「木」は、囲われた木立という概念的な水準だけでなく、風景を透かし入れるための構造形式として、さらには、目や手に触れ、場所の雰囲気や質感を生み出す要素として、さまざまな次元で利用されている。
新建築 住宅特集2010年2月号掲載
2009 グッドデザイン賞
2013 アイカ施工例コンテスト特別賞
構造 | 木造 |
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階数 | 2階 |
工務店 | 建築工房ビス |
家族構成 | 夫婦、子供2人 |
延床面積 | 95 平米(29 坪) |
ウォークインクローゼット(以下WIC)はもう当たり前になった感ありますね。 クローゼットとしてはもちろん、収納スペースとしても大活躍するWICの実力を見ていきましょう。