地窓とは・・・
住宅用語であり、主に、掃き出し窓の事とあります。
掃き出し窓とは・・・床面に近い小さな窓であり、昔、掃除機のない時代にはホウキを使って掃除をしていました。
ホウキで集めたゴミやチリを、この窓から掃き出す。
そんな用途の窓が『地窓』でした。
床からだいたい50cm位の高さにあるのが一般的です。
現在の日本においては、一般的に掃除機を使ってお部屋の掃除をしていますので、この様な使い方はしませんが、お部屋の対角線上に向き合う窓を設置させることにより『自然換気』の効果があります。
それと同時に、柔らかい光を取り入れる『採光効果』があります。
普段、見慣れている窓でも取り付ける位置を工夫する事で、通風・採光・眺望面で意外な効果を持たせる事ができるのです。
地窓効果
ハウスメーカーが建てる多くの住宅の庇(ひさし)は、たいてい450mm前後の短いものが多い様です。しかし、これだと雨の日に窓を開けると、確実に雨が振り込んでしまいます。
深い庇にする事によって、真夏の正午付近の太陽光線は全て庇が受け止めてくれ、地窓という配置と合わせて窓からリビングに差し込まないため、温度上昇を防いでくれます。
冬は太陽高度が低くなるためベランダの下から太陽光線が差し込んで暖かな日差しを感じられます。
通風を目的に地窓の設置を考えているのであれば、地窓単体ではなくほかの窓との関係性も考慮する必要があります。
風は窓の大きさに関わらず、1つだけでは有効な通風は期待できません。
必ず風の入り口になる窓と出口になる窓が必要です。
地窓は基本的に低い位置から冷えた空気を取り込む入り口になり、暑い空気が高い窓から押し出されることにより『地窓効果』が発揮できるのです。
ここでキーとなるのは、出入りする窓の高低差といえます。
同じ階であれば低い場所から取り込み、高い場所から追い出す、階が違えば1階から2階に流れを作る。これが『地窓』の基本なのです。
地窓を効果的に配す。
山・平野・盆地などの地形、または地域エリアや立地条件によって風の吹き方は多少は違ってきます。道路の広い通り、狭い通りでも違います。
家屋の密集度合、隣家との間隔、植栽が低木か高木かによって、風の温度も違ってきます。
そんな日本の住宅事情において、主に和室で使われることが多かった『地窓』ですが、最近ではECOの視点から見直されつつあるのです。
省エネ効果をさらに高める為、地窓を使って室内に効率的に風を導く『地窓効果』によってエアコンの利用を少しでも押さえてCO2の削減をしようというものです。
一般的に、風通しをよくするために1部屋・あるいは1つの空間の別方角に1つづつ計2つの窓を設置しますが、同じような高さの窓が2つの場合よりも地窓と高窓の組み合わせと言った高低差を付けた方が通風量は同じでも室内全体に風が流れ、体感的には快適さを感じられるという事なのです。
エアコンなどなかった時代の理にかなった知恵と工夫が現在の住宅においても『地窓』と言う形で生かされているのです。
また地窓は、位置が低い場所に設置するので外からの視線を気にせず、プライバシーを守りながら、外の緑を愛でると言った癒し効果を得る事も可能なのです。
しかし、地窓を設ける際に気をつけないといけないのが防犯面です。
人通りの多い通り沿いなどに設置する場合には、人が入ってこられないような寸法のペアガラスにしたり格子を付ける等の配慮も必要なのです。
狭小住宅での地窓の方角
昨今、狭小地に家を持つ方が増加しています。
狭小地なだけに、採光や風通しはしっかり工夫したいと思い色々調べてみると、 『風通しには南北に窓を配置するといい。』というのをよく見かけます。
エライ建築家がお勧めするのであればそうなんでしょう。
確かに、南側に窓を配置すれば明るい日差しが望めます。
更に、北側に窓をもう1つ配置すれば、風通しが望めます。
ただ、実際問題どれだけの人がこのマニュアル通り南北に窓を配する事が出来るのか大きな疑問です。
風が抜けやすい家にするのには、向かい合うように窓付けるのと、高低差を付けると前の方でお話ししました。
ただ、せっかく風の流れを考えて窓をつけても使えなくてはなんの役にも立ちません。
狭小住宅の場合、隣の家との距離が思ったよりも近いです。
カーテンを開けたら隣人が『こんにちわ』なんてこともよく聞きます。
そんなことにならない様に、隣の家の窓・室外機や換気扇の位置も計算に入れましょう。
結局の所、立地条件や環境を見てみないと何とも言えないのです。
無責任な言い方ではありますが、建てて見ないと分からないと言う事も多々あるのです。
隣の換気扇や室外機の計算は完璧に出来ていても、我が家の換気扇をモロ隣に向けては苦情が来てしまいかねません。
あくまでも理想的な風通しは南北に窓を配置する。
そんなに方角にこだわる程の厳密な話ではないという事なのです。
(文:fevecasa事務局)
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