【バリアフリーについて考える。~誰にとって?誰の為の?~】

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バリアフリー。辞書で調べてみるとそこには、「高齢者や障害者が生活していく際の障害を取り除き、誰もが暮らしやすい環境を整備する考えのこと」とありました。そう、何かと高齢者や障害者の為っていう考えになりがちだけど、実際はそうじゃない。この「誰もが」という点が一番のポイントだと思うのです。家に住む誰もが、心地よい住処。それこそが全ての人にとっての「バリアフリー」なのではないか。そう思うのです。

車椅子でも気軽に夜空を。

建物の平面形状に合わせて作ったテラスからは、雄大な自然を眺めることが出来ます。

写真のように雲一つない夜は、月と眩い星空がテラスを美しく照らすのでしょう。

リビングとの出入り口には、バリアフリー対応のサッシを採用。車椅子でもこの素晴らしい光景を、充分に堪能することが出来るようになりました。

全ての人に、安らぎを。

ヒノキの壁から木の香りが漂う浴室。窓の先には坪庭が。お湯に浸かる「ちゃぽん」という音。

視覚・嗅覚・聴覚全ての感覚が「安らぎ」という感覚に支配される心地良さ。それは、全ての人に平等に与えられる幸せ。

フラットな床、引戸。それらは、この家に住む全ての人がこの幸せな空間を味わえるようにと考えた「優しさ」なのでしょう。

何がバリアフリーなのかは、その家族が決めること。

当時90歳だった、施工主のお母様。床に段差をつけるのは、バリアフリーなのか、どうなのか。それを決めるのは私たちではなく、そこに住む家族の方々です。

二匹の犬が大好きで、えさの支度が担当だったお母様。段差の床に腰を掛けて、犬と戯れることが日課でした。この段差のおかげで足腰が鍛えられたと話すお母様にとって、この段差は障害ではなかった。

どんな形が最高のバリアフリーなのか。家を建てる時、家族全員で話してもらいたいことの一つです。

効率の良い動線を。

寝室の隣りに設計された水廻り。介護が必要になった際、寝室の側に水廻りがあるのはとても助かります。

要介護者にとって、介助者にとって、それはお互いにとってプラスな設計。負担を軽減することが出来る動線の確保は、全ての家づくりの際のポイントになるでしょう。
家に住む人全員にとって「優しい」住まい。その「優しい」が何を示すのか。一言にバリアフリーと言っても、家族の環境や状況は様々。ただ、段差を無くせば良い、引戸にすれば良いということでは無いと思うのです。家族それぞれが話し合った結果生み出される、その家族だけの、オリジナル。それこそが、究極のバリアフリーだと思うのです。

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ライター/writer midori