昔ながらの使い方!土間にあるキッチンの新たな進化とは?

お気に入りをクリップ

このエントリーをはてなブックマークに追加
日本の伝統的な民家の構造は、木の板や畳などが敷かれた「床(ゆか)」のある部分と、地面と同じ高さの部分とに分けられます。『土間』は、ご察しの通り後者にあたり、屋内でありながら、靴を脱いでも履いていてもいい場所とされています。
マンションやアパートなど、都市でのミニマルな生活が主要になった現在の住宅では、土間は玄関の一部となっており極小化されていますが、本来の土間は、一部屋分ほどの広い空間が通常で、仕上げには、三和土(漆喰を塗り固めた床)、珪藻土、コンクリート・タイルなどが用いられています。
掃除の手入れがしやすい、他に燃え移るものが少ないという点などから、昔の人は、土間に「 炊事場=キッチン 」を設けたそうです。今回は、現在の住宅で新たに注目視されている、【 土間にあるキッチンの新たな進化 】について、まとめてみました。

土間にあるキッチンに田舎暮らしを感じる

昔は、今のように防災の設備が整っていなかったこともあってか、床が腐る心配がない・燃え移るものの少ない土間が炊事場として利用されました。薪を使って煮炊きをしていたので、煙が部屋に充満しないように、わざと屋外に屋根付きの炊事場を設けることもあったそうです。
こちらのキッチンは、古民家の炊事場をモダン化したような、一段下がった土間にキッチンを配置しています。調理場下の空間もスッキリとしていて、とても掃除がしやすそうだなという印象です。
モダンながら土間のメリットを活かしたキッチンは、まちがえなく生活の中心となっていることでしょう。

省エネな土壌蓄熱式床暖房で、24Hぽかぽかの土間キッチン

こちらの土間キッチンのコンクリートには、「 土壌蓄熱式床暖房 」が使われています。土壌蓄熱式床暖房とは、地中熱を利用した輻射床暖房システムだそうで、主に電気代の安い深夜電力を利用して蓄熱し、日中に放熱させる蓄熱式の床暖房です。効率的でランニングコストが抑えられ、とくに広い範囲に設置した際に高い効果を生み出すと言われています。
本来、土間は屋外に近く、冬などは冷え込むことも多い場所で、地域によっては土間に薪ストーブを置いて、防寒対策をしています。しかし、この床暖房設備があれば24時間ぽかぽか。快適で電気代の節約もできる、エコな土間キッチンを実現することが可能です。

奥には座敷有り〼。カフェ風土間キッチン

土間にあるカウンターキッチン、奥には畳を敷いた座敷もあり、お茶を飲んでくつろぐにはピッタリの空間です。さらにキッチンの背面には、オーナー憧れる、本格的なケーキづくりのための、プロ仕様のオーブン・プチバッケンも設置され、よりお洒落なカフェの雰囲気がにじみ出ています。
奥の座敷は、円卓を囲んで大勢で食事をするにも便利な空間。カウンターキッチンを中心に、土間が社交場として活用されている、まさに進化系の土間キッチンです。

床の高さがちがう、ユニークな土間キッチン・ダイニング・リビング

床が積み重なりながら、居場所が連続していく土間・ダイニング・リビング。キッチンは土間部分にあり、コンクリートの床で手入れがし易い、土間本来のメリットを活かした配置。ダイニング、リビングは高さちがいのウッドフローリングで高低差を出し、空間の区別化がされている、ユニークな配置の土間です。自然光があふれる明るい空間を、最大限に満喫できる、壁のない空間の利用が有効的ですね。
昔は防火面から重要視されていた、土間にある炊事場空間ですが、かなり便利になった現在の土間キッチンは、手入れがしやすいというメリットを活かしつつ、蓄熱式の床暖房や社交場としての活用が進んでいることがわかりました。
カフェ風になったり、古民家のような快適さがあったり、土間にあるキッチンには、魅力的なポイントがたくさんつまっています。マイホームやリフォームを考えている人は、「 広い土間を設けてキッチンを置いてみる」ということも、アイディアに取り入れてみてはいかがでしょうか?

関連まめ知識

エアコンのいらない暮らし(1) 2014年06月20日投稿 住宅設計 エアコンのいらない暮らし(1)

関連Q&A

2014年12月19日投稿 建材 土間のある家 (回答数8)
2015年03月15日投稿 住宅設備 床暖房について、 (回答数7)
ライター/writer LYN