中秋忘るべからず。

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「次、暑いって言ったら100円な。」
なんて、面白いんだか面白くないんだかよくわからない遊びを人間に思いつかせてしまう罪な夏も、気づけば昨日の車窓の風景。

季節は少しずつ、でも確実に秋に向かっています。コンビニではおでんを買う人とアイスを買う人が同じ列に並び、街行く人の格好もノースリーブと、有るスリーブがごっちゃな感じ。

冷暖房不要の1年の中でも貴重な、ともすればテレビ見ながら生返事で飲み込んでしまいそうなこの季節。ここはひとつよく噛んで味わってみたいものです。

オンザ眉毛と秋の空。

浴室手前の地味な存在である洗面所。文字通り顔を洗ったり歯を磨いたり、女性はメイクをしたりと意外と過ごす時間は多い。それならばと明るく開放感たっぷりの場所にして以来、出かける前に鏡の前に立つだけで窓から見える景色も相まって、清しい気分になるお気に入りの場所に。

しかし今日は違う。

この鏡の中のこけしは一体誰だ。
明らかに切り過ぎだし、そういえば店を出るとき美容師さん目を合わせなかったし、ふと外を見ればさっきまで晴れてたのに雨降ってるし。

sweet day,sweet potato

いつでも室内から菜園の様子が見え、思い立ったら収穫・調理してすぐに食卓へ。最高の贅沢である。昨年の秋の事。トンボが行き交う青空の下、畝から掘り起こしたサツマイモでばあちゃんが作ってくれたスイートポテト。みんなでパクついて一様に沈黙。そして爆笑。

砂糖と塩を間違えたのか。
和風のだし臭がしたのは気のせいか。
今となってはそんなことはどうでもいい。

今年も天候に恵まれ大豊作。
「スイートポテト美味しく出来たから食べてね。」
写真の中のばあちゃんは笑っている。

週末利休る。

オフィス街のカフェのテラスも昔ながらの喫茶店もいいけれど、夏の喧噪が過ぎ去ったこの時期は、ひとり自宅で己と向き合う週末午後が心地いい。

茶道を極めたい方ならいざ知らず、自宅に「茶室」なんて…と思う方がおそらく多数でしょう。難しい事は分からずともコンパクトな和室で姿勢を正せば、日常に隠れた非日常があなたを包みます。お茶でもコーヒーでもカルアミルクでも、自分で淹れてルマンド添えて、一気に飲み干し「結構なお点前で」。

あなたただけの「俺千家」を確立してください。

シンボルツリーと暮らす。

夏場はモミジにも負担となるため、専らその木陰を大いに活用させてもらい、手入れは必然的に毎年今頃だ。紅葉した様子をイメージしながら剪定する休日の数時間。ちょいちょいバルコニーから成果を確認しながらのこの作業が割と好き。

シンボルツリーの宿命なのか。七夕には短冊、クリスマスにはオーナメントをぶら下げられる事も多く、モミジのアイデンティティを懸念したりもするけれど、それもこれも紅葉狩りで愛でてチャラよね、と都合良く考えるマンは私です。

月見@ルーフテラス。

飲み会が断れず遅くなってしまった。
洗濯物はすっかり湿気をまとっていた。洗濯物を取り込みながら頭上の月が明るい事に気づいてひらめいた。数分後にはルーフテラスに寝袋を広げて月を見上げていた。夜風が気持ちいい。もうこれはキャンプだもんネと、寝袋に入ってひゃっほうと浮かれているとお向かいさんが雨戸に手を掛け、こちらを見て固まっている。

「えっ…あ、月がきれいだなあと思っ」
「ガラガラガラ」

言い終わりを待たず雨戸が閉まった。
それはひとり月見会開幕の合図だ。
親しかった友人が亡くなりました。
突然でした。

亡くなったというと響きが「無くなった」ようでやっぱり悲しいですが、暑い夏が過ぎ、ちょうどいい季節にゆっくり旅に出たのだと思います。1年を通して暮らしに季節の楽しみを取り込むのが上手だった彼女は、いつだって繊細且つ力強い、ユーモアに富んだ風の中にいました。きっと今ごろは、「むう。この秋は何をしよう?」なんて考えているんだろうと思います。

私もそんな風に吹かれていたいです。

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ライター/writer kotoda