南側を幅員約1.8mの道路と接し、東側および北側はL型の高台状に隣地建物と塀が取り囲む五角形の変形敷地における建替計画。
周囲は昔ながらの民家や寺社が混在した密集地である。
諸条件から、地域への家開きの観点において、心理的効果も含め周囲に対して適度に隙間や距離感を持つ住まいを目指すべく、建物全体を敷地に対して斜めに振った1.5間角のグリットに沿う計画とした。
凹凸型の建物形状は外周部に複数の三角形の隙間を生み、日溜まりや風溜まりとして密集地と思えないほど恵まれた日照や通風環境に寄与する。
また開口部が周囲の家の開口部と正面切らず斜めに向かい合う状況を創出し、相対する実寸法以上に心理的距離を感じられるよう企図した。
内部のグリットで現された真壁は空間に強い指向性を与え、視線の先には斜め視点での外景が伺える。
また階段形状により上下移動の際に視線が90°捻られる空間体験も相まって、外部との位置関係に対する認識が薄まることで内部への没入感が増し、結果的に外への意識自体が希薄となり、内部の人が感じる被視感とも呼ぶべき緊張を和らげられないかと考えた。
構造 | 木造 |
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階数 | 2階建 |
敷地面積 | 44.5坪 |
延床面積 | 32坪 |
リビングの中に階段を設ける「リビング階段」は、単に空間をつなぐ手段ではなく、敷地を有効に活かす工夫のひとつです。 空間の中心に据えられるからこそ、その機能性はもちろん、デザイン性にもこだわりたいとこ...