これからの木造3階建て集合住宅の計画

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いはゆるマンション等の集合住宅は、建築基準法では共同住宅という用途で 特殊建築物のひとつとされ、原則として3階建て以上の建物では耐火建築物 であることが要求されます。 耐火建築物とは、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に耐火被覆を施した構造です。 昨今、こういった構造の建築工事単価の高騰により、集合住宅の事業として の側面から、建物の構造そのものを工事単価が鉄筋コンクリート造や鉄骨造 ほど高価ではない木造へと、見直す向きが出てきたように思います。 たとえば つぎの1.2.は、木造でも実現の可能性がある、集合住宅の計画方法です。

1. 長屋形式 長屋とは、共用階段や共用廊下といった共用部分のない集合住宅のことです。 住居ごとで縦割りの棟割長屋や階数を違える重層長屋などがあり、いずれも 特殊建築物にはあたらず、地域や条件によって耐火建築物を要求されません。

2. 木造3階建共同住宅仕様 建築基準法の緩和により、防火地域以外であれば計画上の制約を受けた上で 準耐火建築物での木造3階建て共同住宅(木三共)計画が可能になりました。

ただ、これら 1.2.の仕様はプランニング上の制約が相当に厳しく、都市部 の限られた広さの敷地の中で計画するには、難しい場合が多いのが現実です。 そこで、もうひとつの計画の可能性 としまして。

3. 木造耐火建築物での共同住宅 木造での耐火建築物として計画する方法です。この場合   ア)計画ごとに大臣認定を取得する。  イ)すでに大臣認定が取得されている構法により、計画・施工する。 という、ふたつの実現手段があります。 ア)はとてもたいへん。一般の共同住宅の計画では現実的ではありません。 イ)の場合は、構法によってふたつのルートがあります。 ・在来構法など軸組構法では 日本木造住宅産業協会(木住共) ・2バイ4など枠組構法では 日本ツーバイフォー建築協会 設計者・施工者は、これらの協会の講習を受講し(あるいは会員になり。) それぞれの協会の仕様に基づいた計画・施工をする必要があります。

専用住宅と違って共同住宅の場合は、計画上で構造体の配置にある程度の 自由度が必要となります。SE構法などの軸組構法と木住共による耐火仕様 をセットとした計画が、大きな選択肢となるのでは、と考えております。
岩間隆司/SOCIUS一級建築士事務所

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