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エアコンのいらない暮らし
設計の要望の中で最近はエネルギーに関心がある方が多く、なるべくエアコンを使わく手も快適に過ごせるという提案を求められることが増えました。
なるべく使いたくないという理由は大きく分けて2つあります。
①エアコンによる体の不調
エアコンによる体調不良を心配される方が多いようです。。
快適に過ごすためのエアコン設備ですが、人工的に造られた室内環境の違和感なのだと思います。
②単純に電気代の節約です。
エネルギーシフトの真っただ中で生活している私たちです。エネルギー消費に無関心でいられるわけはありません。
だったらこの際「エアコン無しで」と考えるのもよくわかります。
省エネに暮らす室内環境に対する考え方は大きく分けて2つ
①「スマートハウス」 室内環境を人工的にコントロールし、省エネを実現する手法です。「補助金支給などをあてて国も推進しています。
「スマートハウス」ではエネルギーを「見える化」することにより省エネ意識を高める。という考えで、エアコンも積極的に使用しますが、上手にコントロールすることにより省エネになるという手法です。
②「パッシブハウス」自然の環境を利用しながらできるだけ快適に暮らす手法を言います。
アーキクラフトでは少し昔に戻った家づくりをしていますが、その地域に適したつくり方があります。
「エアコンのいらない家」とは言っても全く使わないということではありません、また、扇風機もあればストーブもあります。程々にバランスのとれた暮らし方が出来ればそれがよいのではないかと考えています。
何かの機器に過度に依存しない、何かのエネルギーに過度に依存しない。
暑ければ一枚脱ぐ、寒ければ一枚着る。窓を開ける。閉める。
人が動かなくても快適になる手法では無く、人が動かないと快適にはならない。
そんな緩い考え方の住まいをつくりながらその延長線上に「エアコンのいらない家」が実現できるのではないかと考えています。
もちろん最初からそのような暮らしを望んでいる方たちですので意識や心持ちの問題もあると思いますが、暮らしやすさは建物のつくり方である程度コントロールできるものなのです。
「不快な湿度」との付き合い方
「エアコンのいらない家」を実現したいときに最大の敵が不快な湿度です。
ジメジメした空気は不快なだけでなく、建物にもよくありません。木材に取り付いた腐朽菌を元気づかせ、腐らせます。
湿気を寄せ付けない建物を造れれば建物も人も快適に過ごせるわけですが、残念ながらそんなことはできません。相手は太平洋高気圧、日本の夏に熱と湿気をお土産に居座ります、台風の力でも借りない限り余所へ行ってもらうことはできません。
建物も人間も湿度とは上手に付き合っていかなければなりませんが、それには湿度を持った空気が家の中でどういう動きをするのか知る必要があります。
湿気の動き方の特徴
①湿度のある空気は湿度の高い場所から低い場所に移動する。
②下から上へ移動する。
③空気が動かない場所が好き
これらの動きを利用し、夏はできるだけ低い位置から気流を入れ、高い位置で排出する。たとえば比較的温度が低く地面に近い地窓から気流を取り込み、天窓に抜くことで湿度のある空気を排出することが出来ます。
気流はたとえ風が無くても窓の位置でつくりだせます。風が無いから窓を開けないでは無く、気流をつくり空気を動かしましょう。「重力換気」といいます。
夏はクローゼットや押入れ、使わない部屋のドアも湿気がこもらないように結露しないようにすることが大切です。
ドア程度で締め切ったからと言って湿気の侵入を防ぐことはできませんならばいっそう開けてしまって動きやすきした方がいいのです。
人も建物も湿気に動いてもらうことで多少なりとも快適になります。そのために必要なのが風通しなのです。
新たに住まいを考えるのであれば気流を起こしやすい窓の配置や風の通り道を考えてみましょう。
アーキクラフトではパッシブな考え方を基本に漆喰や無垢板を使いながら、快適に暮らせる住まいを提案しています。