設計監理の重要性

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建築設計業務の一環として他社の住宅の「かし検査業務」を行っています。
住宅の工事には約20種類の職種が関わっています。

必要な場合は地盤補強から始まり、基礎配筋・型枠→コンクリート打設→土台・建て方→屋根・防水→サッシ→外壁工事→断熱→内装下地→給排水・電気設備→住宅設備→建具・内装仕上げなどそれぞれの職種があるときは前後しながら工事を進めていきます。

住宅は現場で造るものなので、下地がしっかり出来て次の工程に進むというスケジュール管理や適切に工事が行われているかを確認することが大切になってきます。これをおろそかにすると出来上がった後にはチェックの難しい内部の不具合で、仕上の亀裂や雨漏り、水漏れ、床のきしみといった欠陥住宅の問題になってきます。

景気動向などで一斉に建てられた時期の住宅には注意が必要です。もちろん施工管理をしっかり守っているところもありますが、慌ただしい中で建てられた住宅には見落としも出てきやすものです。

例えば基礎配筋では設計事務所が作成した図面通りの太さの鉄筋が必要な本数使われているか。地面から鉄筋が6㎝以上離れているか(コンクリートが固まった後、地面からの湿気などの影響で鉄筋が錆びにくいように決められた寸法です)、コンクリートを流す前に鉄筋の切れ端やごみを取り除いたかなど初歩的なチェックです。余計なものが混じっていれば、いい状態のコンクリートは打てません。

躯体工事の柱や梁が組みあがった後、金物で締め付ける工法が多くなっていますが、図面通りの強度の金物が必要な本数使われているか、釘の打ち忘れがないか、ボルトはしっかり締めれれている。後の歪みや床の音鳴りの原因になります。

通気工法と言って外壁下地に構造用合板を張って室内側からの湿気は通して雨水は通さないシートを家全体に貼って空気の通る15㎜程度の隙間を設けて外壁仕上げをする工法が多くなっています。

この透湿防水シートは、万が一外壁から雨水が漏れても室内に入らないように貼るもので、上から下に流れる水滴が下に落ちるように、下から貼ったシートの上に上のシートを10㎝以上重ねて貼るのが原則です。窓廻りや建物の角には粘着性の強いブチルテープという黒いテープでしっかりと目止めしなければなりません。

しかし工事のスケジュール上しっかりシートを張っても設備配管などの穴をその後に外壁に開けなければなりません。
その場合は、先程のブチルテープで水が内部に入らないようにしっかりと目止めします。

このように工事の進行状況を把握して検査漏れのないようにチェックすることが重要になってきます。

この項目をチェックをしているのが建設会社側の現場監督の仕事の一つです。
一般の方がこの工程をチェックするのは不可能なので、設計事務所に依頼されて住宅を建てる方は、建て主側の利益を守る信頼できる、まさにその住宅の図面を描いた建築士に二重のチェックを依頼することをお勧めします。
藤井克昌/ワイズ建築設計一級建築士事務所

written by 藤井克昌/ワイズ建築設計一級建築士事務所

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