建築会社を選ぶ前に、カレーと結婚相手について考える。

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マイホームを持ちたい。


そう思ったとき、まず「どんな家を建てたいか」よりも、「どの建築会社で家を建てるか」、ということを考える人が多いのではないでしょうか。ハウスメーカー・工務店・建築設計事務所などなど。選択肢はたくさんある中で、インターネットや雑誌で好みの会社をいくつかピックアップし、住宅展示場へ行ったり、実際に会社へ行ってみたりする。まさに王道な家づくりのスタート。そんな王道を選んだ人がはまりがちな落とし穴を、カレーと結婚相手に置き換えて、経済学的に考えていきたいと思います。


 


【みんなが進む、「王道な家づくり」】


王道な家づくり。そもそもそんなものがあるのかは分かりませんが、最初に述べたように、「どの建築会社で家を建てるか」に始まったマイホーム計画。そうすると、「大手がいいかな」とか、「耐震性がよさそうなところ」とか、「安くておしゃれな家を提案してくれるところがいいな」とか。建築会社の情報を収集していくと、まずそれだけであなたは大量の情報と向き合うことになるはずです。それこそ、情報のオバケがあなたの頭の中に入ってきた瞬間。もう追い払うことはできません。あーこわいこわい。


 【ここが落とし穴。】


家づくりは、取捨選択の連続です。「安全な構造なのか」とか、「価格」とか、「デザイン」とか。ひとつずつ出てくるその選択肢を、選ぶのか捨てるのかを考えながら、自分の中にストックしていきます。そしてそろそろ決めなくちゃと思ったその時!情報のオバケがあなたに囁くのです。「もっと調べればもっといい会社があるかも」と。そしてあなたはさらに調べ始めます。知ってることが良いことだと言わんばかりに調べまくるのです。そしてだんだん「決める」ということができなくなっていきます。


 【あなたが自ら選んだ最悪なカレー】


さて、ここで唐突ですがカレーの話をします。カレーが10皿あって、1皿ずつあなたの前に運ばれてきます。その中からあなたは1皿だけ好みのカレーを選ばなければいけません。選ばずに通り過ぎていったカレーに戻って選ぶことはできないのがルールです。「これはいい感じだけど甘すぎるな」とか、「スパイスの香りが好みだけどちょっとしょっぱい」とか言ってるうちに、最後の1皿になりました。 「辛すぎる!!食べられない!」でも、あなたはもうその1皿を選ぶしかないのです。選択肢どころじゃありません。たくさん味見をしたにも関わらず、あなたのカレー選びは最悪な結果となりました。


 【あなたはどんなカレーを食べたいですか?】


あなたはどこで間違ってしまったのか。カレーが出てくるたびに選択をしていたはずなのに。原因はこうです。確かにあなたは選択をしていました。”甘い”とか”辛い”とか自分の好みと照らし合わせて。でも、「最終的にどういうカレーを食べたいか」という目的を決めていなかったために、全体的な評価ができず、好みのカレーはあなたの前を通り過ぎて行ったのです。結婚相手を選ぶ際も同じことが言えますよね。コンパに参加して、何人もの人に出会ったとしても、100%自分の希望に合う相手なんてなかなかいませんよね。そのことに気付いて、「あ~やっぱりあの人が良かった。」と思った時には、もうその人は他の人と結婚してしまっているでしょう。


 【カレー選びは覚悟が必要】


カレー選びの話を経済学的に見ると、選択肢は後にいけばいくほど少なくなり、選ぶリスクを大きくします。建築会社選びに置き換えると、選択肢(情報)がたくさんあるだけでは部分的な評価しかできず、気付いた時には自分の要望とズレた選択をしてしまうことになりかねません。 家づくりの最終目的は、「自分たちに合う家を建てること」です。重要なのは、「自分がどんな家に住みたいか、どんな暮らしをしたいか。」を考えてから行動し、トータルでの評価ができるタイミングで、覚悟を持って決断することなのです。


 


家づくりは往々にして自分の希望通りにならないこともあります。でも、ひとつの目的に向かって、パートナー(建築会社)と一緒に家づくりを進めることができれば、うまくいかないことがあったとしても、妥協という形ではなく、幸せな結果にたどり着くことができるのではないでしょうか。


 


取材協力:株式会社ホープス

m/フェブカーサ運営事務局

written by m/フェブカーサ運営事務局

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