「カフェっぽいリビングにしたい。」「見せる収納をつくりたい」「玄関に広い土間を作って自転車を置きたい」「オリジナルキッチンにしたい」など、住まいへの要望は、リノベーションも新築も共通する部分があります。一番違うのは、既存の建物を残しつつそれをいかにして実現するかという部分です。リノベーションでは、ビフォーの状態をいかにうまく利用するかで、コストも大きく変わってきますし、仕上がりの満足度も変わってきます。リノベーション見学会では、そのアイデア・センス・工夫を実際の現場を確認することで「リノベーションってどこまでできるの？」ということを知ることができます。その部分が、「施主の意見をいかに実現したか」ということになり、知っておきたいリノベーション会社の特徴になります。また、マンションリノベーションの場合には、比較的広さなど条件が近い建物も多いため、空間の使い方のイメージがしやすくなるというメリットがあります。一戸建てのリノベーションの場合には、構造だけを残して屋根や外壁のやりかえを行うことも可能ですが、気になる箇所を全て新しくしたり、耐震補強などを徹底的に行うとコストが高くなってきます。見学会では、屋根の上貼りやフローリングの重ね貼りなどの手法など、既存の建物を活かしてリノベーションを行っている場合もあるので、それらを見ることで、コストを抑えたリノベーションの仕上がりがどのようなものになるのか確認することができます。

　新築とリノベーションのどちらも検討している人にとっては、リノベーションの見学会に行くことで自分がどちらに向いているかを知ることができます。自分の住んでいる家を、「リノベーションするか建て替えを行うのか」を検討する場合もあると思いますが、リノベーションを選ぶひとつの理由として、希望の立地で新築住宅や新築マンションを手に入れることが難しいことがあります。中古物件を購入してリノベーションする場合、既存の建物の古い部分は残りますので、その部分を納得できるのかどうかを実際の建物を見て、確認しておく必要があります。例えば、マンションの場合には、共用部分は触ることができないので、サッシなどは古いままになりますし、古いマンションで、オートロックのない建物や宅配ボックスのないものなど、最新のマンションと比べて不足を感じることもあるかもしれません。見学会に行くことで、新築と中古の差について、新築とのコスト比較とともに、直感的な自分の感覚から、新築とリノベーションのどちらが自分に向いているかを確認することができます。

　「中古物件を探して、リノベーションしたい」と考えている人にとっては、見学会は、物件についての情報を得られる機会にもなります。というのは、最近では、リノベーション会社が不動産仲介も行うことが増えてきており、その場合、住まいへの要望を確認しながら、中古物件を一緒に探してくれるからです。リノベーション向けの物件とは、売却時に売主によるリフォームがされていない少し割安に購入できる物件だったり、リノベーションがやりやすい構造の物件だったりです。リノベーション会社に物件探しをお願いできる場合、築年数や給排水設備の状況など、自分ではなかなか判断が難しい物件の見るべきポイントを押さえてくれるので非常に助かります。このように、物件探しの相談のきっかけとして、見学会へ行くことも可能です。また、リノベーションの見学会では、リノベーションの流れについての勉強会を開催していることもあり、その場合には、物件探しから資金計画、リノベーションの流れまでをトータルに学ぶことができるでしょう。

　リノベーションは、既存の建物の制約の中で、最大限の要望を叶えるという作業になるため、新築以上に複雑になってくる場合があります。特に、リノベーションを前提として中古物件を購入する場合にはその傾向があります。また、リノベーションは、デザイン力と工事費について、会社による違いが、新築以上に出てくるため、リノベーション会社を知る上で、見学会に行くことは大きなメリットがあると言えそうです。