「平屋」が成立する条件

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 平屋というのは一つの理想かもしれません。しかし実際にはめったにありません。平屋が成立する条件がなかなか厳しいからです。ではどんな条件が整えば平屋が可能なのか、また平屋にはどんな問題があるのか、2階建ての場合と比較しながらまとめてみました。


 ・敷地が十分に広いこと


 ある敷地に建てられる面積の決まりには「建ぺい率」と「容積率」があります。平屋の場合は建ぺい率と延べ床面積はほぼ同じになりますが、2階建てならおよそ建ぺい率の2倍が延べ床面積になります。つまり同じ面積の住宅を建てるなら 平屋の場合2倍の敷地が必要ということになります。土地が高い日本の現状ではこれはなかなか厳しい条件です。


・敷地の周辺環境


 広さは何とか確保できても、まわりが高さのある建物で建て込んでいたら平屋は快適にはなりません。2階建てなら1階の条件が多少悪くても、2階をリビングにすれば結構快適になりますが、平屋はそんな逃げがありません。周辺環境がある程度良くないと、日当たりがよい開放的な住宅は出来ません。中庭型などにすればある程度解決できますが根本的な解決にはなりません。


・コストアップ


 平屋は建設費の点ではどうしても不利になります。2階建てなら平屋と同じ面積の基礎と屋根で壁だけ高くすれば、2倍の床面積が取れることになります。実際には2階の床があり間仕切りの壁もありますから、そこまでの単純計算は成り立ちませんが、平屋は2階建てに比べて10%から20%程割高になるのは避けられません。


・温熱環境


 コストアップのところでご説明したのと同じような理由で、平屋は床面積の割りに外気に面する部分が多くなりますから、気密性能、断熱性能を上げないと、暑さ寒さの点で不利になります。しかし一方で条件の良い土地ならパッシブデザインは効果的ですし、私どもの提唱している地熱住宅は地面に接する面積が大きい平屋の方が効率よく機能しますから、一概に2階建てより不利とも言えません。


・動線計画


 平屋は階段という上下の動線がないので動線的には有利なようですが、すべての部屋が一つの階にあるために、動線が交差したり、長くなったりしがちです。気を付けて計画しないとかえって使いにくくなる可能性もあります。動線計画はしっかりとチェックする必要があります。


以上のように、平屋は一長一短です。コストの点からはかなり贅沢な建て方と言えると思います。しかしだからこそ、広々とした敷地に優雅に建つ平屋は誰しもあこがれる所でしょう。条件が許す方はがんばって建ててはいかがでしょうか。

浦田義久 篠崎素子/SUR都市建築事務所

written by 浦田義久 篠崎素子/SUR都市建築事務所

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