内と外をつなぎ、暮らしを広げる土間

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古来より、日本の民家に根ざした土間は、生活を支える場でした。
屋内での農作業場や、かまどを置いた炊事場として、
あるいは、収穫した野菜や農機具の保管場所としても活用されてきました。
現代の土間は、働く場というより、暮らしを広げる場。
土間があることで内と外がゆるやかにつながり、おおらかな空間が生まれます。

中庭と一体化する食堂

「家の中にいても、自然を感じて暮らしたい」「人目を気にせず、窓を開け放ちたい」……。
たとえば、中庭を設けたり、さらに土間を取り入れてみる。すると、外はぐっと身近になります。
この家は、各部屋から中庭を臨む平屋のコートハウスです。
土間の食堂には、中庭へ開く、大きな間口部。木製建具を壁の内側に引き込むと、食堂は中庭と一体化します。同時に、気持ちのいい風も呼び込みます。

段差が生むのびやかな空間

玄関扉を開くと、この空間に迎え入れられます。土間の先にはキッチン。左は食堂、さらに居間へと心地よい段差によって広がります。
土間の右側には造り付けの食品棚、食器棚、冷蔵庫が並びます。靴は食堂の段差を利用した床下へ収納。
ここは「通り土間」でもあり、キッチン横の勝手口から中庭へとつながります。来客を玄関からそのまま庭へ招いてもてなしたり、夏は風の通り道になります。

土間+カウンターで、カフェの趣きに

玄関土間の延長にキッチンカウンターを配置した、カフェさながらの趣き。お菓子づくりが好きな家主がオーダーしたキッチンです。
重厚なグレーのタイルは馬目地で張り、のびやかな印象に。キッチンカウンターとスツールは、明るい色調のバーチの積層合板材で作製しています。
小上がりの和室とは3枚の建て具で仕切ることができ、住まいでありながら、非日常のカフェ空間に仕立てます。

自在に使う、大きな土間

玄関から入ると、キッチンを設置した大きな土間が広がります。ラワンベニヤ張りの天井と壁、そしてステンレスのキッチンのテクスチャーが相まって、モダンな雰囲気の土間に。
広い土間は、玄関でもあり、台所でもあり、倉庫でもあります。靴を履いたまま荷物を運び込める利便性は、こうしたプランだからこそ。
冬の冷え込み対策のため、土間の下には床暖房を設置しています。
土間があれば––––
土足の便利さ、愉しさをもたらします。
外の自然を呼び込むだけでなく、人をもおおらかに迎え入れます。
ラフな空気を生み、居心地の良い空間ができあがります。
インドアでありながら、アウトドアの贅沢を味わえます。
小さくても、土間があればいきいきとした暮らしが待っています。

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2014年12月19日投稿 建材 土間のある家 (回答数8)
ライター/writer 西岡